軽口雑話 第22話 あんた何歳!!   
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 マレーシアとシンガポールの国境(幹線道路の)、ジョホールバルのイミグレーション(マレーシア側)を通過後、シンガポール側から見た自動車の通過検査場


≫ あんた何歳!!(第22話)

 毎度お馴染みのビザ切れ、かみさんは2週間ほど日本へ帰り、私はシンガポール行きの一人旅でした。11時半発のジョホールバル行きのバスに乗れました。
 ジョホールバルのバスステーションで乗り換え、シンガポール行きのバスに乗りました。バスはまず出国イミグレーションへ行きます。

 ジョホールバルの混んだ出国手続きの列に並んで”何でこんなにもたもたしているのだろう!”等と思っているうちに自分の番が来ました。いつもはさっと通れるのに...。私の顔とパスポートを何回も見比べています。そのうち「ちょっとここで待て!」と言われて、担当の役人は何処かへ出かけて行きました。他の人が長く待たせるのをいつもはいらいらと待っていたのに今回は私のために長い列を待たせています。”ちょっとばつが悪いけどしょうがない!”...。
 しばらくするうちに、私より年上に見える小柄ででっぷり太った”おえらいさん”らしき人を連れて戻って来ました。「私の上司だ。」と言って紹介しました。
 彼に別室に連れて行かれました。部屋に入ると、彼は自己紹介して名前を名乗りましたが、覚えられませんでした。
 彼はパスポートを見ながら、
「名前は?」
「よしかわまさおです。」
「で、あんた何歳?」
「62才です。」
「何しにマレーシアに来たの」
「はい、リタイアメントをしたのでマレーシアに来ました。」
「どうしてこんなに長く居るの?」
「マレーシアは、ちっと暑いですが国土は美しいし、マレー人はとても親切でくらしやすいですから、私はマレーシアを愛しています。」
「そんなにマレーシアが気に入ったかね。ところであんた何歳?」
「62才です。」
「あんた若いね。良い身体してるよ!私はこんなにお腹が出てしまったが、あんた何かスポーツやってる?」
「はい水泳をやってます。」
「毎日かね。」
「はい、毎日1500mは泳いでいます。」
「そう、私はスポーツ嫌いだから...、ところであんた何歳?」
「62才です。」
「マレーシアは何処に住んでいるのかね。」
「KLのスバンジャヤ、ホリデイビラに住んでいます。」
「どのくらい?」
「はい、一年ちょっとです。」
「ホテル住まいなんか止めて何処かコンドミニアムに住みなさい。その方が落ち着くよ!」
「.....!」
「私は、今54才だがあんたの方が若く見える!”
「.....」
「ところで、あんた何歳」
「62才です。あと3か月で63ですが。」
「君は、ジョホールで出国し、飛行機でKLに戻るんだね?」
「はい」
「それは、賢い!」
「.....?」
彼は出国のスタンプを押しました。そして私の肩を叩きながら、
「グッデイ!」
「サンキュー・サー」
 ようやっと出国出来ました。
 日本人のパスポートは300万円で売れるそうです。若い職員は偽造パスポートを使っているのではないかと疑ったようです。日本人の62才はまだ若いのです。マレー人の常識と一緒にしないでほしいものです。
 「ったく!」





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